2013年02月02日

ココ・ファーム・ワイナリー


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うっすらと「おいしい国産のワインらしい」
ということは知ってた。
栃木県足利市にある、ココ・ファーム・ワイナリー

ココ・ファームを題材にした授業の教材をつくるため、
この数週間、ココ・ファームの本や記事を読み込み、
ワイナリーで一日を過ごし、
何人もの人にお話を伺い、
東京でのイベントに出かけ、
たくさんワインを飲んで、
そして仲間といろいろ議論をした。


ココ・ファームは、
成人の知的障害者の施設「こころみ学園」の園生たちが
ぶどうの栽培、ワインの製造にたずさわるワイナリーだ。

サミットの乾杯のワインに使われるなど、
完全に世界でも勝負できる質のワインを作っている。
赤・白・ロゼ・スパークリング、いろいろ飲んでみたけど
とにかくどれもおいしい。深く明るい、味わい。


議論を始めたころは、なんとなく、
障害者である園生の雇用(つまり社会的なこと)と
ワイナリーの経営(つまりビジネスの継続)とは、
どちらかというと相反するものであり、だとすると、
それをどう両立させているのか、
みたいなことがテーマになるのかなと思っていた。

でも、知れば知るほど、相反するどころか、
園生の存在こそが、ココ・ファームのワインの素晴らしさ、
ひいてはサステイナブルなビジネスを
つくりだしているのでは、と思うようになった。


彼らは言えばわかる人たちではないし
命令すればやってくれる人たちでもない。
いやなものはいや。好きなものは好き。
その代り、うまくはまると
驚くほどの集中力で仕事する。

だからワイナリーのスタッフも学園の職員もとにかく必死で、
この園生は何だったらできるのか、ということを考え、
いろいろ試行錯誤をするなかで、
一人一人にあった仕事のかたちを作っていく。

園生の仕事には、邪念が混じらない。
例えばワインに使うぶどうの実を選ぶ基準も
いいものはいい、悪いものは悪い、と、とてもはっきりしている。
これは高いワイン用だからちゃんといい実を選んで、
安いワインには少し傷んだのも入れちゃって、
と、普通の人が考えそうなことには絶対にならない。

さらには、障害者が働くことを通じて
誇りと責任を持って生きる、つまり自立する環境をつくる、
ということを一番の核においているから、
除草剤を撒いて効率化しよう、みたいなことは
最初から選択肢にも入らない。
だって草刈りという大切な作業ができなくなる。
すると、自然と土地は豊かになり、美味しいぶどうができる。
ぶどうがおいしいから、
そのよさをいかしたおいしいワインができる。


一見遠回りに見える。
手間と暇がかかって、ビジネスとは相反するように見える。


でも、障害者と診断される人じゃなくったって、
人は本当は一人一人全然違って、
何が得意なのか、苦手なのか、
好きなのか、嫌いなのか、まるで異なる。

そして、どんな人であっても、
その人が本当にぐいっと、いいものを生み出せるのは
頭で考えてうんぬん、ではなくて、すぽっとはまった時。


2001年に新卒でココ・ファームに入って
今や醸造責任者をつとめる方がこういってた。

「園生は、自然と仕事にうちこんで、楽しんでいる。
楽しもうと思って楽しんでいるのではなく、楽しんでいる。
そして自分の仕事に誇りと責任を持っている。
園生の働き方は、自分にとっての仕事の理想形、なんです。」


そうか、「人ありき」以外の選択肢が逆になかったがゆえに、
働くって、仕事って本来こういうこと、という感覚が共有され、
結果、いいものが生まれているんだ。


ココ・ファームのような場所、
仕事に対する感覚を持つ人がもっと増えた未来で生きたいし、
そんな未来になるために自分ができることを、
すなわち「仕事」を、心を込めてやっていきたいなあ...
posted by まゆか at 00:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 働き方や考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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